六月の憂鬱




「さて…俺の帰りが遅いなんて理由で言いつけを破った終も悪いが、それを言ったのはお前だな、余?」

今度は余の番だった。

すぐ上の兄が泣き叫んでいる姿を見て、恐怖が増幅されたのか、余は既に目にいっぱいの涙をためている。

小さな肩に手を置き、目線を合わせ、射抜くような厳しい目をしてみせると、余のくるりとした目からは透明な雫がぽろぽろとこぼれた。

「う…だってぇ…」

「まだ何もしてないうちから泣くんじゃない」

可哀想な気もしたが、始はあえて厳しい声音でピシリと言い放った。

「ふぇっ…ぅ…ごめんなさい…」

「余もしっかり反省するんだな」

さっと抱え上げて膝の上へ乗せ、ズボンとパンツを一気に下ろしてから、平手を振り上げる。

ーバシン!バシン!バシン!バシン!

「っ!ふえ…っ、いたいっ!ごめ…ごめんなさいっ!」

小さなお尻全体を、下からすくい上げるように叩いてしまえる始の大きな平手は容赦が無かった。

「ぇっ!…ぁ、もう、いたい…っ!ごめん…なさいっ」

ーバシン!バシン!バシン!バシン!

泣きながらのごめんなさいもしばらく無視したまま、平手を加え続ける。

小さくて白いお尻はすぐに赤く染まっていったが、始はさらにしっかりとお尻全体を真っ赤に染め上げた。

「…っく、ごめん…なさいっ…!も、いたい…ごぇんなさいぃっ」

「俺が見ていなくても、ちゃんと言いつけは守ること!いいな」

ーバシーンッ!

そう言って一つ強めにお尻を叩いて、始は手を止めた。

泣きじゃくる余の脇を抱え起こして抱きしめながら、よしよしと背中をさすって、ズボンを直してやる。

終もまだ涙が止まっていなくて、二人でひっくひっくと仲良くしゃくりあげる姿がどうも笑いを誘っていけない。

「二人とも雨で元気があり余ってるのは分かるけどな。お仕置きされて泣くことに元気を使いたくはなかっただろ」

今回は特に物も壊れず、ケガもなく、人に迷惑をかけることも特に無く済んだのだから、良しとしよう。

始がそう思いながら、よしよしと二人の頭をなでていると、まだ泣き止むか泣き止まないか状態の終がぽつりと呟いた。

「あ…メロンパンだ…」

リビングの食卓の上に放置された紙袋にじっと注がれている視線に、始が半ば呆れるように言った。

「お前…この状態であれに目が行くか」

「食べても、いいの?」

「さーて。本当はおとなしく待ってるイイ子へのお土産だったんだが…お前ら、今日は悪い子だったろ?」

「え〜!」

思いっきり不満そうに抗議の声を上げる二人に、始が声を上げて笑う。

「いいよ。お仕置きも終わったし、少し遅くなったけどおやつにするといい。」

「やった〜!」

今まで泣いていたぐずぐず顔はどこへやら、食卓へとダッシュした二人。

元気良く椅子に座った途端、悪い子だった代償をしみじみと感じるハメになったのは言うまでもない。




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